2016年7月21日(木)~25日(月)
北海道を旅してきました。本記事では、7月23日(土)の3日目の模様をお送りいたします。
1日目の観光記事はこちら。
2日目の縦走初日記事はこちら。
縦走2日目であるこの日は、白雲岳避難小屋~忠別岳~五色岳~化雲岳~ヒサゴ沼避難小屋までのコースタイム8時間半程度です。
しかしこの縦走2日目は、大雪山~トムラウシ山への縦走の中で、最もヒグマ遭遇のリスクが高い1日と言えます。地図の中にも3か所「ヒグマ注意」と書いてあるし。。
獣臭漂う登山道を恐る恐る歩いた縦走2日目の始まりです。
7月23日(土)
4:30。モゾモゾと寝袋から抜け出して、外に出てみると、ひんやりとした空気が身体をすり抜けていきます。
ものすごい雲海が広がっていました。増え始めた雲が耐え切れずに写真の左手に流れていく滝雲となっていました。その雲の流れ道のところが、ヒグマ生息ポイントなんだけど大丈夫なんだろうか。。不安な気持ちを抱えながら、出発します。
この日のルートはこんな感じです。いつも雑ですみません。
その場でみんなに花の名前を教えてもらったけど、忘れちゃいました。エゾカンゾウでしょうか。オレンジの花に囲まれて歩を進めていきます。
雲がどんどん生成されていきます。つまり、あの雲を突っ切って歩くということ。それは、ヒグマ遭遇率を高めるということ。幻想的な景色には、それだけの危険が潜んでいるので、なんともむずがゆい気持ちになります。
エゾツツジ。背丈が低いので、写真を撮るのに苦労します。
目の前に滝雲が迫ってきました。こんな間近で見る自然現象に言葉が出ません。「すげぇ…」と小学生並みの感想しか出てこない自分を恨みたい。
veryblue氏のよくわからない鳥ポーズ。羽ばたきたくなる気持ちはわかるぜ。
2日目の無事の山行を祈って、集合写真。
「よし、出発するか。」と言いつつも、この絶景を前にしてなかなか先に進もうとせず写真ばかり撮る僕ら。というかヒグマに遭う可能性があるんだから、ゴミ袋ぐらいしまえばよかったね。
結局ここで休憩しつつ、朝ご飯も食べつつで数十分はゆっくりしていた模様です。
だってこんな景色、二度と見れないかもしれないじゃない。ちなみに写真中央にポコっと飛びてている少しギザギザしている山が、最終日にピークを踏むトムラウシ山です。
びっしり敷き詰められた雲の絨毯。もし乗ることが出来たら、ふかふかしてて気持ちいんだろうなぁ。
日の光を目いっぱいに浴びるエゾツツジ。雄大な敷地と、その大地を彩る花々。北海道でしか味わえない特権を思う存分しゃぶりつくしています。
ウルップソウ。僕は何も知らずに「トラノオかな?」とか思っていましたが、どうやらレアな花なようです。礼文と大雪山と白馬岳と八ヶ岳にしか咲いていない花のようです。
もう枯れかけており、見ごろはとうに過ぎておりますが、下から枯れていくようですね。
6:02。高根ヶ原分岐。ここを左手に曲がれば温泉に入ることが出来ますが、写真のとおりヒグマ生息地でウロウロしているようなので閉鎖されています。僕らはトムラウシへ向けてまっすぐ進みます。
コマクサ。そこらじゅうに普通に咲いているので、高山植物の女王感はzeroでございます。
平らな大地が広がっています。地図上で言えば平ヶ岳というポイントでしょうか。
ちょいちょい草木が生い茂る道もあります。ちなみにこの2日目の行程は、要所要所で獣臭が漂っております。僕以外の3人は敏感に匂いを感じ取っていたそうですが、僕は全く気付きませんでした。鼻炎でよかった。
この日最初に踏むピークは忠別岳ですが、そこに至るまでの道はなだらかな道で歩いていて快適でした。ちなみに鼻炎で匂いに気付かなかった僕も、ヒグマという見えない恐怖に一応怯えながら歩いております。
こんな北海道の山奥、ソロじゃ絶対に歩きたくないです。4人でよかった。
後述しますが、ご存知の方もいるかと思いますが、僕らが辿るコースは、2009年に起きたトムラウシ山遭難事故と同じコースです。一人では怖くてとても歩けない。
この雄大な景色と、好天に感謝しながらみんな思い思いに写真を撮りつつ進んでいきます。4人全員が一眼レフで撮っているもんだから、後半バテてきた頃は、みんなに任せてたっけな。
今朝歩いてきた道を振り返る。僕の写真技術じゃうまく伝えられないけど、このスケールはすごいんです。はい。
7:30。休憩。重い重いザックを降ろして休憩する時間。超幸せです。とにかく肩と腰が痛い。
20分程度休んで再出発。1つ目のピークである忠別岳が目の前に近づいてきました。
昨日に引き続き、この日も雪渓を何度か歩きます。ゆうちゃんが写真の左の方に逸れていきましたが、そこで撮った写真がこちら。↓
忠別岳バックに撮ってくれました。この写真は気に入っています。山のデカさが引き立つ一枚ですね。
木道が広がっていて、足元にはチングルマ。自然と心躍る景色に足取りが軽やかになります。
ワタスゲも咲いていました。ポワポワしてて可愛い。
なんなんだこの大地は。写真じゃわかりづらいですが、緑の上に白が浮いています。無数の花が敷き詰められています。どこを探したらこんな規模があるんでしょう。。
忠別沼に映る、逆さ忠別岳。こんなすげぇ景色見たことねぇ。。
ちなみに忠別沼にはエゾサンショウウオが住んでいます。写真のどこにいるか、心のきれいな人には見えるはず?
しかしこの景色は震えました。自分の足で歩いてここまで来た、ここまで来れたという実績もまた感慨深いものがあります。
相変らずチングルマがぎっしり咲いています。本州でこの規模が見れるところがあるんでしょうか。最高のシーズンにくることが出来て良かった。
歩いてきた道を振り返る。ゆうちゃんが感慨に浸って歩いております。
veryblue氏とRedSugar氏も元気に歩いております。僕もコンディションは悪くなかったので、この日もなんとか歩き切ることが出来ました。
エゾシマリスでしょうか。めんこいですなぁ。ゆうちゃん撮影です。
そしていよいよ8:58。忠別岳(1,962m)登頂。今朝まで泊まっていた白雲岳避難小屋は2,100m前後のはずなので、だいぶ下ってきたようです。
veryblue氏、ゆうちゃんの青ペアもこの日の初ピークにご満悦の様子。
断崖絶壁に座るveryblue氏。
今までもこういう断崖絶壁はいくつか見てきたつもりですが、ここのどでかいスケールにただただ茫然とする時間が流れていきます。
veryblue氏曰く、こういう風に足を投げ出して撮るのが山ガール内では流行っているとかいないとか。
この写真はどういう流れで撮ったのか覚えていません。意味不明なショットです。
縦走2日目の1つ目のピークを祝して集合写真。これから先あと4時間以上の行程を残していますが、この日は朝も早かったので14時~15時には小屋について、グダグダできそうだったので良かった。
9:40再出発。40分程度の大休憩を挟んで体力を回復させました。
次のピークは五色岳ですが、そこに至る道もチングルマロード。
荷物が重く、前日の疲れも幾ばくか残っていることもあり、サクサク歩くことはできませんでした。
10:19。忠別岳避難小屋分岐到着。本日の目的地であるヒサゴ沼避難小屋まで6.1kmもあるのか。
五色岳へ歩を進めますが、この忠別岳避難小屋分岐から、コースタイム1時間ですが、この1時間がこの日一番にきつかったです。
あんまりに辛くて写真が残っていないのですが、僕の前を歩くRedSugar氏も「俺、歩くの遅い?これ以上早く歩けないから勘弁して」と嘆いておりました。大丈夫、僕も無理だから。
ちなみにRedSugar氏の前をゆうちゃんが歩いていたはずですが、歩くのが早すぎて気付いたら肉眼でも捉えられないぐらい先に進んで行ってしまいました。
「やっぱ20代の体力は違うわ」と年代のせいにして、残り3人は30代の牛歩でのそのそと歩いていく事にしました。
いやはや、、本当に我慢の登山でした。とにかくきつかった。このテント装備背負ってサクサク歩くゆうちゃんはどんな足腰してんねん。。
11:09。五色岳(1,868m)登頂。忠別岳よりも100m近く標高下げる格好となりましたが、ピークを踏める達成感がモチベーションの維持に繋がっています。
全滅です。
体力が底をつき、吐きだせるものは吐き出して登り切ったので、みんな停電したように動かなくなってしまいました。20分ぐらいは昼寝してたんじゃないかな。
もそもそと起きだした後、記念撮影。五色岳なので、五ということで。
ちなみに奥に見えるのがトムラウシ山ですが、雲に覆われていてギザギザな山頂を見ることはできませんでした。でも、今日の出発時と比べると、だいぶ近づいてきたもんです。
さあ次なる目的地である化雲岳へ向かいます。この標識にDaisetsuzanグレード5という表記がありますが、難易度などのレベルを示しているんでしょうかね。まぁ明らかに初心者コースではないことは歩いてみて十分感じておりますが。。
五色岳から化雲岳までは急登はなく、なだらかに100m登るようなイメージです。ここから1時間半の道のり。
整備されている木道をテクテク歩いていきます。さっきの五色岳でだいぶ体力削られたので、気を遣わずに歩ける木道はありがたい。
ヒェ…。これはなんの足跡ですか。。ヒグマの蹄っぽいですよね。。マジ怖いから勘弁して。
この日はお昼を過ぎると雲が多く出始めてきてしまいましたが、涼しいからよかったかな。肩と腰が破壊され始めていますので、随所でザックを下して休憩します。
12:43。化雲岳に向かえる分岐に到着。またもや休憩。少し足が重くなり始めてきたので気持ち的にはこのままヒサゴ沼に行ってしまいたかったですが、あと400mで化雲岳に到着するから行こうということに。足を奮い立たせます。
ハクサンイチゲとみんな。休憩を早々に切り上げて、化雲岳にさっさと登っちまおうということに。
みんなペースが乱れ始めて、列が縦長になりがちです。化雲岳に登ってしまえば、ヒサゴ沼避難小屋までは1時間ちょっとで着くので、気持ちがだいぶ楽になっていますが、身体はただただきついです。道中も写真はこの1枚のみ。
13:01。化雲岳(1,954m)登頂。この日の最終ピークを無事に踏むことが出来ました。
集合写真を撮る気力なんてなく、またしても寝て体力回復を待ちます。僕も靴を脱いで盛大に寝てたっけな。
奥に見える化雲岩をバックに集合写真。「かうんだけ」にちなんでみんなで知恵を絞りましたが、頭がまったく回転していないので、何も思いつかず、ただただ疲れた肉体労働者たちのようになってしまいました。
13:30。本日の宿泊地であるヒサゴ沼避難小屋へ向けて歩き始めます。「あと1時間ちょっと!あと1時間ちょっと!!」と自分を奮い立たせたり、足元に広がる相変わらずのチングルマを撮影したりして気を紛らわせます。ちなみにRedSugar氏を見てもらえばわかるけど、もはやしゃがんで花を撮る体力なんぞ、みんな残っていません。
なんとか腰を曲げて撮影するも、真上からのショットなのでイマイチ。
このヒサゴ沼までの道のりも、木道が整備されているので、歩きやすいです。ちなみにこの一帯は「神遊びの庭」と名付けられています。
13:41。化雲岳を巻いてこれる道と合流しました。コースタイム的には、あと50分です。ようやく2日目が終わる!!はやく小屋でグダグダさせてくれぇぇーーー
左手の雪渓から雲のような霧のようなものがたちこめていました。なんていう現象なんでしょうかね。
写真中央にヒサゴ沼が見えてきました。滑る雪渓を慎重に下りながら、でも気持ちは前のめりになっていました。ゴールが近いぞぉ!
ヒサゴ沼までは一気に下ります。登りもきついけど、やっぱり下りも鬼門です。もうカラカラに干からびた気持ちを奮い立たせてなんとか一歩一歩進みます。
雪渓を渡り終えると、今度は雪解け水が流れる沢沿いに歩きます。足を滑らせないように、最後まで注意を配る必要があります。
そしてようやく14:12、ヒサゴ沼避難小屋に到着しました。休憩時間含めて11時間程度歩いたことになります。いや、マジできつかった。当然のことながらテントなどという無駄に体力と時間のかかる代物を広げようなんてことは1mmも思いませんでした。避難小屋一択です。
ヒャッハーー!!
男4人、裸になって雪解け水で身体を洗います。この瞬間はマジでイッってた。4人全員が何度も悦に浸り、昇天してました。
汗にまみれた身体を、何度も何度も冷たい水で洗います。水行をするだけで、こんなにさっぱりして体力回復ってするのかと、自分でも驚きました。
沼と言いつつも普通にきれいだったので、みんなで入って遊んだりしました。あまりに冷たすぎて10秒も入っていられなかったです、足が逆に痛くなりました。
さっぱりした後は小屋に戻り、夕食までお昼寝タイム。お腹もすいていたけど、それ以上に睡眠欲も半端なかったし、寝袋広げて横になれた瞬間は、それはそれはもう至福の瞬間でした。
16:32。夕食の準備です。この日、夕食用と煮沸用にガスをキープしていたため、ずっと行動食でごまかしてきたので、ようやくあったかい食事にありつけることになりました。みんなでカレーを作ります。
カレーを作る傍ら、煮沸も同時並行的に進めて、明日の水分の2L×4人=8Lを捻出します。
そんななか本日も缶ビール1本をveryblue氏と半分半分で飲みます。頭の中の思考回路をすっ飛ばして、脳天に突き刺さります。犯罪的に旨いクラシック。
明日はトムラウシに登るので、トマトを食べます。山で食べる生野菜は旨い。
そして特性トマトカレー。こんなに美味しいトマトカレーが今まであっただろうか。。体の底から打ち震えるうまさが全身を駆け巡り、あったかい食事にありつけたことで、身体がポカポカ温かくなり、体力が回復していくのを食べながら実感しました。
最後はオレンジでお口さっぱり。これだけの食材を担いできたveryblue兄さんに感謝です。
そのあとは8Lの水が出来上がるまで煮沸作業をしながら、ナキウサギの鳴き声に耳を傾けたり、歯磨きをしたり、各自明日の準備をして、早々に眠るのでした。
白雲岳避難小屋からヒサゴ沼避難小屋まで歩いた2日目。
初日とはまた違った面白さが詰まったコースでした。それと同じぐらいヒグマの恐怖もあったので、やはりここは一人では怖くて歩けないですね、僕は。
忠別岳の大迫力、そして何よりも水行が本当に気持ちよくて、最高のイベントでした。
さて、次回はいよいよ縦走最終日の3日目。
さらに南下を進めて大ボスである「トムラウシ山」のピークを踏むことになります。
もしよろしければ、こちらからどうぞ↓
同行したRedSugar氏の記事はこちら。
大雪山~トムラウシ山縦走の地図はこちら。

山と高原地図 大雪山 十勝岳・幌尻岳 2016 (登山地図 | マップル)
- 作者: 昭文社地図編集部
- 出版社/メーカー: 昭文社
- 発売日: 2016/03/30
- メディア: 地図
- この商品を含むブログを見る